『ジョジョの奇妙な冒険』第4部「ダイヤモンドは砕けない」のラスボスである吉良吉影。
敵でありながらも、自分の生き方を決して曲げることがないキャラに多くの人が共感を寄せている人気キャラです。
そんな吉良吉影が、『ジョジョ』第4部の後で主人公を務めたスピンオフ作品があることをご存じですか?
そのタイトルは『デッドマンズQ(クエスチョンズ)』です。
今回はそんな『デッドマンズQ』についてご紹介致しますね!
『デッドマンズQ』とは
『デッドマンズQ』とは、先ほども述べましたように、『ジョジョ』第4部のラスボスである「吉良吉影」が主人公を務める『ジョジョ』のスピンオフ作品です。
なんとこの『デッドマンズQ』は、『ジョジョ』の原作者である荒木飛呂彦先生ご本人が執筆されておりますよ。
荒木先生ご自身による『ジョジョ』キャラのスピンオフと言えば、アニメ化やドラマ化も果たした『岸辺露伴は動かない』が有名ですが、実はこの『デッドマンズQ』もそうなのです!
余談ですが、どちらも第4部のキャラが主人公を務めているという共通点がありますね。
さて、『デッドマンズQ』は1999年に「オールマン」という雑誌の12~14号に掲載された作品です。
この「オールマン」という雑誌がちょっと不明なものなのですが(ごめんなさい)、1999年というと、『ジョジョ』なら第5部がクライマックス間近の辺りでしょうか。
『デッドマンズQ』はどこで読める?
『デッドマンズQ』は、荒木先生の短編集である『死刑執行中脱獄進行中』の中に収められています。
デジタル版も出ています、部屋の場所を取らないのでいいですね。
全部で何話あるの?
『デッドマンズQ』は現在のところ、全部で3話分まで発表されています。
3話だけと思って侮ることなかれ、その3話の中に荒木先生の魅力的なセンスがギュッと作品の中に濃縮されていて、とても濃厚なお話を味わうことが出来ますよ。
その物語についてを、次の項目からご紹介致しますね!
『デッドマンズQ』の内容
それではここからは、『デッドマンズQ』の内容と、それについての私の感想を書いていきますね。
厳密に言うと『デッドマンズQ』には各話にサブタイトルや「第1話」「第2話」という区切りが用意されていないため、ここでは便宜上物語が区切れているところまでを「第〇話」とさせて頂きます。
以下からはネタバレがございますので、困る方はご注意下さいね!
『デッドマンズQ』第1話
スーツ姿に丸い帽子を被った『男』は、電車の駅を5つほども乗り過ごして改札を出ると、駅前にあった花屋で花の香りを3分ほど嗅いだ。
その後、本屋に入ると、『鼻をなくしたゾウさん』という本のタイトルがすごく気になったが、ここはグッとおさえて、目的である「宅配便屋風の男」の掲載された写真を見つけた。
『男』はその写真をあたかも本物の宅配便屋の男が来たかのようにみせかけて使ってある家に侵入すると、次は電話を探した。
電話は見つけることができたが、かけた相手が出ない…。
電話にかけた相手の許可がなければ入れない部屋がある、と『男』は焦りを見せた。
『男』は仕方なく、電話がダメならせめて…と「ナイフ」を探し始める。
しかし、突然現れた犬が『男』を襲った。
『男』は思わず叫んだ。「こいつにはわたしが見えているッ!!」と。
戸棚の中に隠れることで『男』はなんとか犬の攻撃から逃げることができ、次のチャンスが来ることを待つことになる。
そしてその時がついにきた。
深夜の0時が回る頃だった。
その部屋にいたのは、過去に連続殺人を犯した犯人で、0時で時効が切れるため、その時がくるのを慎重に楽しみにしていた。
数時間前に『男』が電話をした相手もこの殺人犯で、慎重にしていたために電話に出なかったのだ。
『男』が殺人犯に電話をかけたのは、殺人犯のいる部屋に入るには殺人犯の許可が必要だったからと語る。
0時を回る前、時効が切れるのが嬉しくてたまらない殺人犯は、思わずこう口にしてしまった。
「鳩だろーが警察だろーが俺のとこまで来れるもんなら来てみやがれってんだァァァーーー!」
「来てみやがれ」ーーーその言葉が「許可」となってしまった。
「許可」が下りたためにその部屋に入ることが出来た『男』は、殺人犯を手に入れていたナイフで一突きにする。
そう、これが『男』の仕事だった―――。
『男』の正体は、幽霊の殺し屋だった。
名前は吉良吉影。しかし、自分がいつどのように死んだのかはどうしても思い出すことが出来ないという。
一つだけ言えることがあるとすれば、自分はけして天国へは行けないということだろう、と吉良は考えていた。
これからどうしていいかもわからないが、とりあえず与えられたこの「仕事」を生きがいにしておけば幸運になれるかもしれない…。
そう思いながら、今夜の休む場所を探すために、吉良は殺人犯の部屋を後にするのであった。
これで第1話はおしまいです。
『デッドマンズQ』第1話を読んで思ったこと
はじめは吉良の素性(幽霊で殺し屋をしていること)が全く明かされないまま話が展開するので、「あれ?」と思わされる描写が多いです。
宅配屋風の写真を探しているところや、犬に「わたしが見えている!」と思うところなどのね。
でも、その「あれ?」と不思議に思わされるのがまた楽しくも心地良いです…。
そして、最後の最後にやっと主人公の謎の『男』が吉良吉影であると明かされる衝撃!
この流れはたまりませんよ~、前情報をなしでこの話を読んで驚くことが出来た人がうらやましいくらいですw
『ジョジョ』シリーズの電子書籍も絶賛配信中です~(カラー版もあります)。
『デッドマンズQ』第2話と第3話の内容
『デッドマンズQ』の第2話と第3話は前後編となっていてつながっている物語なので、まとめて紹介させて頂きますね。
今回、吉良が依頼を受けたのは「ある軍人の家に行き、その付近で起きた自殺や変死の謎を調べて取り除いて欲しい」というものだった。
吉良に依頼をしたのは女坊主の尼である。
尼が言うには、その軍人の家も普通のものではなく、「屋敷幽霊の家」であるという。
幽霊が出るという意味の「幽霊屋敷」ではなく「屋敷幽霊」…屋敷自体が幽霊なのだ。
吉良がその家に向かうと、確かに家の中にあるゲタや電気スタンドなど、すべてが幽霊で出来ているのだった。
屋敷には名作な著作物や、有名な作者の絵画、名曲のレコードといった、吉良の喜ぶものであふれていた。
嬉しくなって大はしゃぎする吉良だが、次に開けた戸棚の中から、奇妙なものが飛び出してくる。「卵」だった。
(物語が途切れているここまでが第2話、ここからが第3話とさせてもらいますね)
一見普通の卵だが、卵をつかんで吉良が感じたことは、「動いている」ということだった。
「こいつは幽霊なんかじゃあないッ!!」
吉良がそう気付いたにはもう遅く…卵からは恐竜のような生き物が生まれ、吉良を襲い始める。
吉良は、この生まれたものは『魂の掃除屋』ではないかと直感で気付く。
『魂の掃除屋』…それは、この世が死人の魂であふれかえらないように清掃する役目ではないかと吉良は考えた。
そしてその掃除屋は、吉良を「掃除」しようとしているッ!
吉良は『掃除屋』から逃げる。しかし、ただやみくもに逃げ回っていただけではない。
先ほど、吉良がお宝と感じたものがあった部屋にあった「ある物」を探していたのだった。
やがて吉良はついにそれを見つける。それはこの家の元持ち主である軍人の写真が飾られた部屋にあった「銃」だった。
吉良はその銃でためらいなく『掃除屋』を撃ち抜いてみせるのだった。
その後、屋敷から飛び出すことで吉良は難を逃れるが、見つけた「お宝」に関しては未練を捨て切れずにいた。
しかし、吉良は依頼主である女坊主の元へと戻るのであった。屋敷幽霊の家から吉良が持ち出したのは名曲のレコードなどではなく、銃弾が存分に収められた箱であった。
『掃除屋』によって腕を奪われた吉良はこう独りごちる。
「あの女坊主のがかわりにくっつくかな…」
聖人ぶったあの女に、あの世が本当にあるのか体験させてやるために、吉良は女坊主の元へ急ぐのであった。
(第2話と第3話 終わり)
『ジョジョ』シリーズは第5部まで31日間無料トライアルでも全話見放題で視聴可能です。
(第6部はポイント制)
『デッドマンズQ』第2話と第3話を読んで思ったこと
どちらかというと「吉良はあの世にいけず、まだ現世で殺し屋をやっていますよ~」と紹介するための回である印象の方が強く感じた第1話よりさらに、第2話と第3話では『ジョジョ』らしさも感じられるバトルが繰り広げられていて迫力がありました。
(第1話がバトルが少ないからって批判しているのではけしてないですよ!)
それにしても、「屋敷が幽霊」ときいて、ジョジョラーの方であればピンとくる人もいるのではないでしょうか。
そう、第6部の登場人物であるエンポリオのスタンドも、屋敷の幽霊なるものでしたよね。
幽霊と化した場所にある物を使って徐倫たちをサポートしていました。
発表されたのは第6部『ストーンオーシャン』よりもこの『デッドマンズQ』の方が早いはずですが、『デッドマンズQ』の段階でエンポリオのスタンドも同様のものにしようと構想をされていたのかな、などといったちょっとニヤリとしてしまうような考察をせずにはおられませんよね!
『デッドマンズQ』続編はあるの?アニメ化などの展開は?
さて、気になる『デッドマンズQ』の続きですが、2022年の5月半ば現在、第3話以降の物語は発表されていません。
今後も続きが描かれるかは未定ですが、荒木先生は「これは続編を描きたいです」との発言を『ジョジョ』の豪華本『JOJO-A-GOGO』の中で残されています。
JOJO A-GO!GO! (愛蔵版コミックス)
なので、もしかしたら続編もあるかもしれない…?ってところでしょうか…。
アニメ化についてですが、『岸辺露伴は動かない』が順調にアニメ化をしている中、個人的には有り得なくもない話だと思うのですが、いかがでしょうか。
っていうか、アニメ化を強く希望します。アニメ化!して欲しいでーす!
おわりに
以上、今回は吉良吉影のその後が描かれた作品である『デッドマンズQ』についてご紹介致しました。
正直、『デッドマンズQ』という作品も魅力的すぎて、今回私がここまで書かせてもらった文だけでは、その魅力を十二分には表せ切れてないようにも感じております…。
是非実際に上に貼ってたリンクからでも手にとってみて下さいね。
『デッドマンズQ』に登場するデザイン版の吉良も、『ジョジョ』第4部に登場する吉良に劣ることなく人気だと思われます。
というのも、過去に『デッドマンズQ』版の吉良のフィギュアも出ているから、そこからその人気をうかがうことが出来ると思うんですよねぇ。
『岸辺露伴は動かない』ももちろんですが、『デッドマンズQ』もアニメ化なり実写化なりのメディア展開を繰り広げて欲しいですよね!
それでは、今回はこの辺りで!
ここまでお付き合い下さり本当にありがとうございました!